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第8回ラテンアメリカ研究講座国際シンポジウムのご案内

大阪日本ポルトガル協会会員各位

京都外国語大学、ブラジルポルトガル語学科の住田育法先生よりのお知らせを下記にお送り申し上げます。

蒐場明美 Akemi Nutaba
大阪日本ポルトガル協会
Eメール mailto:nutaba.akemi@inabata.com
ホームページ http://www.osaka-portugal.jp/
tel: 06-6267-6090
fax: 06-6267-6042

■京都外国語大学京都ラテンアメリカ研究所主催
第8回ラテンアメリカ研究講座国際シンポジウム
http://www.kufs.ac.jp/kufs_new/kenkyuu/latin_kouza.html

「豊潤なるアフロ・ラテンアメリカ」

日程:2008年11月11日(火)・12日(水)
場所:京都外国語大学内国際交流会館4階会議室
後援:ブラジルポルトガル語学科
※申込不要・入場無料


 新世界における豊かなアフリカ文化の遺産を考えるとき、人権を奪われ、
売買目的の商品として旧世界アフリカから新世界アメリカに運ばれた、厖大
な数のアフリカ原住民の歴史に目を覆うことはできないであろう。大航海時
代にはじまる約3世紀間に及ぶ奴隷貿易で1,000万人を超えるアフリカの民
が奴隷として新世界に運ばれたと推計されている。こうした暗い過去にもか
かわらず、21世紀の今、彼らの子孫たちが、南米大陸のブラジルやコロンビ
ア、ベネズエラ、アルゼンチン、そして紺碧のカリブ海に浮かぶハイチ、ド
ミニカ共和国、キューバなどの国々において、音楽やスポーツの分野で、稀
有なる才能を発揮してきた。例えば、サッカーのロナルジーニョやペレ、音
楽のガビーノ・エセイサ、シキーニャ・ゴンザガ、ピシンギーニャ、ジルベ
ルト・ジルらの活躍が光っている。

 今回のシンポジウムでは、奴隷貿易から始まり、ジャーナリズム、民族学、
文化人類学、映画など、国内外の研究者にさまざまな視点から黒人文化に対
する思いを語っていただきます。ブラジル黒人奴隷解放120周年に相応しいア
フロ・ラテンアメリカ文化讃歌の集いになれば幸いです。
 多くの皆様のご来聴を歓迎します。


■11月11日(火)
▼13:20-13:30
開会

▼13:30-14:50
「大西洋奴隷貿易史から見たブラジル-アフロブラジリアン形成の歴史的位
相-」
※布留川正博(同志社大学)
ラテンアメリカのなかでもっともアフロ性が強い国はブラジルである。それ
は、16世紀半ばから19世紀半ばまでの約3世紀にわたってアフリカから黒人
奴隷を輸入した結果である。その数は少なく見積もっても365万人に達して
いる。彼(女)らの出自は、西アフリカの各地や、コンゴ、アンゴラ、モザ
ンビークの各地に広がっていた。彼(女)らがブラジルの社会経済の土台を
築いたのである。アフロブラジリアン形成の過程を大西洋奴隷貿易の視点か
らアプローチしたい。

▼15:10-16:30
「ブラジル、ジャーナリズムにおける黒人」※ポルトガル語による講演。
通訳あり。
※ジョゼー・ルイス・プロエンサ(サンパウロ大学)
http://buscatextual.cnpq.br/buscatextual/visualizacv.jsp?id=K4765478P7
サンパウロにおける黒人新聞の登場によって、多民族国家ブラジルの中での
黒人の軌跡に大きな一歩が記された。最初の新聞『O Menelick』は大量の
ヨーロッパ移民がやって来る1915年に誕生し、民主化の進んだ1963年の
『Correio d'?bano』によって終わりを告げた。奴隷解放120年を迎える
今、こうした複数の新聞における黒人たちの声に注目し、ブラジルのジャ
ーナリズムの視座から検証する。

▼16:50-18:00
「アフロ・ブラジル宗教」※ポルトガル語による講演。
通訳あり。
※ディルマ・デ・メーロ・シルヴァ(サンパウロ大学)
http://buscatextual.cnpq.br/buscatextual/visualizacv.jsp?id=K4721446E4
大航海時代以来、ポルトガル人が先導した黒人奴隷貿易の結果、大量のア
フリカ人が新大陸に運ばれ、彼らの血と信仰心をその子孫に遺すことにな
った。格闘技のカポエイラや音楽のサンバによって日本でも広くアフリカ
文化の遺産が知られている。西アフリカ現地調査5年の民族学者の立場か
ら、アフロ・ブラジル文化の源流ともいえる黒人宗教の神々の姿を解説しな
がら、その多様な祈りの世界を紹介する。


11月12日(水)
▼13:30-14:50
「ジャマイカの民衆文化にみる「アフリカ的」なるもの:パトワ、マルー
ン、ラスタファーライへの交錯するまなざし」
※柴田佳子(神戸大学)
ジャマイカの2001年のセンサスでは91.6%が'Black'、黒人の血をも
つと想定される混血の'Mixed'が6.2%で、98%近くが黒人系の国家であ
る。その子孫はスペイン時代からの奴隷と英領での奴隷制廃止(1838年)
以降自由移民として入植したアフリカ人が大多数である。奴隷制時代には
他植民地からの移入、プランテーション生まれのクレオール奴隷の増加と
新来のアフリカ人奴隷との相互交渉など、長きに亘り混交的状況が展開し
ている。同時に様々な混血も誕生し、奴隷制以降移入されたインド人や中
国人年季奉公人らとも接触や混交があった。そのようなハイブリッドなク
レオール社会・文化を形成してきたなかで、アフリカ文化を最も存続させ
たとステレオタイプ的に言われる逃亡奴隷マルーンの文化、また「アフリ
カ回帰」を謳う土着のラスタファリ運動でみられる「アフリカ」、首相か
ら宿無しまで話すクレオール語パトワにみられるアフリカ的なるものにつ
いて考察する。


▼15:10-16:30
「ブラジル映画における黒人」※ポルトガル語による講演。
通訳あり。
※エリアネ・イヴォ・バローゾ(フルミネンセ連邦大学)
http://buscatextual.cnpq.br/buscatextual/visualizacv.jsp?id=K4781700P9
ブラジル社会はアフリカ文化を基盤としているため、ブラジル人を描けば
必ず黒人を表現することになる。特に、近年のリオデジャネイロの貧民街
を舞台とした『シティ・オブ・ゴッド』や『バス174』などは日本でも
公開されているので、容易にこの現実を理解できるであろう。報告では、
黒人の登場する映画の中でもとりわけ黒人問題を扱った作品を取り上げ、
映像による黒人の人種的アイデンティティについて考察する。


▼16:50-18:00
ディスカッション


▼18:00-18:10
閉会

京都外国語大学京都ラテンアメリカ研究所:http://www.kufs.ac.jp/kufs_new/kenkyuu/latin_fr.html

ふるってご参加ください。
住田育法
ブラジルポルトガル語学科
http://www.kufs.ac.jp/Brazil/03docentes/sumida/

2008.10.14 10:08